RACE REPORT レースレポート

2024 全日本選手権大会 U23タイムトライアル / U23ロードレース

2024.06.21

photo : 三井 至

 

レース概要

日本における自転車ロードレースの国内選手権大会である全日本自転車競技選手権大会が、6月21日から23日にかけて地元静岡県の日本サイクルスポーツセンターにて開催された。

6月21日はタイムトライアル、6月22日はU23世代のロードレース、6月23日はエリートクラスがそれぞれ行われ、レバンテフジ静岡は全日程に出場し、日本一の称号と、上位リザルトの選手に付与されるUCIポイント獲得を目指しました。

 

【開催地】

静岡県伊豆市 日本サイクルスポーツセンター

 

MU23 個人タイムトライアル

例年同様、全日本選手権初日は個人タイムトライアルから始まる。

U23世代の個人タイムトライアルには、昨年同種目で4位と好成績を残した山口瑛志が出走しました。

 

【開催日】

2024年6月21日(金)

 

【距離】

25.0km(5.0km×5周)

 

【出走人数】

19人

Race Report

自転車競技の最大のライバルは風と言われるが、己の力と空力を最大限に高め、1/100秒を競う「真実のレース」個人タイムトライアルは、自足のある山口の得意種目である。

昨年同カテゴリー4位になった山口は、U23最終年での優勝を目指して準備をしてきた。

 

朝から強い雨が降り、風も強い厳しいコンデションでのタイムトライアルとなった。

フィジカルでは、国内の世代トップクラスといえる山口であるが、コーナーリングやバイクコントロールに課題があり、雨は最も懸念していたマイナス要素である。

 

 

山口は気合十分でスタートを迎えたが、スタートからペースが上がりきらない。

 

 

序盤は狙ったタイムをキープしたが、苦しい時間が続く。その後ペースを上げていく必要のある時間帯でも精彩を欠いた。

 

 

最終周回(5周目)を迎え、ここまでのダイムは4位-5位付近、優勝を目指していた山口にとって不本意な走りであることは走行姿からも見て取れる。

 

 

ゴールまであと3km、路面の溝にハンドルをとられ下りで痛恨の落車。打撲と擦過傷が深くその場で棄権することとなった。

 

個人タイムトライアルは、不確定要素がロードレースよりも少ないことで、準備した通りの結果になりやすい。走行中の数値(パワー)も普段の値に遠く及ばず、本調子で臨むことができなかったことは明らかである。ポジショニングや、スタートまでのコンディション調整を含め、今回の改善点は明確であり本人も認識をしている。

すぐに改善できる部分であり、今後エリートカテゴリーに進んだ後に改善していけるものもあり、来年以降のリベンジに期待がかかる。

U23では実現できなかった目標を、エリートで達成してほしい。

 

ただ、まずは翌日にU23ロードレースがある。落車に伴う骨折等の大きな怪我はなく、痛みが引けば出走できる可能性もあるため、先ずは安静に、今回の悔しさをバネに翌日のロードレースに向かう。

 

【レース結果】

1位 鎌田 晃輝(JCL TEAM UKYO)

2位 寺田 吉騎(シマノレーシング)

3位 林原 聖真(明治大学)

DNF山口瑛志

 

MU23 ロードレース

全日本選手権2日目は、男子U23のロードレースが開催され、前日の個人タイムトライアルにも出場した山口瑛志と、U23クラス2年目の夏目天斗が出走しました。

 

【開催日】

2024年6月22日(土)

 

【距離】

112.0km(8.0km×14周)

 

【出走人数】

121人

 

Race Report

会場は修善寺の日本サイクルスポーツセンター(通称:CSC)内の8kmコース。アップダウンが激しく、日本一厳しい自転車サーキットとして知られるCSCは、個の力による勝負になりやすい厳しいコースである。

この日は、前日とは打って変わって晴天のもとでの開催になった。チームからは、前日の個人タイムトライアルに続けて出場になる山口に夏目を加え、2名で日本一を目指した。

 

山口は前日の転倒の影響で、打撲と擦過傷が酷い状態ではあったが、朝の段階で自転車に乗ることはできそうだということで、出走を決断した。

 

スタートからアタックが繰り返されるが、大きな逃げは形成されずにレースが進行する。序盤は山口、夏目共に集団で落ち着いてレースを進める。

「序盤は全く身体が動かず、苦しく不調だった」と山口は振り返る。

 

 

3周目に数名の逃げ集団が形成されるが、それを嫌った選手がペースアップを図る。こうしたペースアップが繰り返えされ、7周目に夏目が遅れをとってしまう。

 

 

9周目にメイン集団が先頭を捕まえると、その後もアタックが頻発し、集団はさらに活性化。

 

 

昨年の同レース2位の津田選手(NIPPO EF MARTIGUES)などがペースアップを繰り返し、12名ほどに減った先頭集団に残った山口は、レース中盤から本来の調子を取り戻し落ち着いて勝負を伺う。この時点まで余裕を持って走れていた山口だったが、気温が上がる天候の中で補給を十分にとれていなかった。これが影響し、残り2周に入る前の登りで両脚を痙攣させて完全にストップしてしまい、先頭集団から大きく遅れてしまう。

 

 

その後なんとか痙攣も回復して走り始め、一人でゴールを目指す形になる。ペースを取り戻した山口は先行する選手を一人ずつパスするが、3分以上に開いた差は取り戻すことができなかった。残り2周を独走で走り19位でゴール。

 

 

山口は脚力的に勝負できる力をつけてきたが、初歩的なミスでU23最後の全日本選手権を失ってしまった。しかし、レース経験が2年に満たない山口にとっては、すべてのミスが積み重ねになっている。来年からエリートカテゴリーにあがるが、引き続き力をつけて結果に繋げていきたい。

また、U23クラス2年目の夏目はスプリンターという脚質のためCSCを苦手とするが、コースに関わらず実力を上げる必要がある。現時点での結果を受けいれ、引き続きJプロツアー(国内リーグ)での結果を目指していく。

 

【レース結果】

1位 寺田 吉騎(シマノレーシング)

2位 鎌田 晃輝(JCL TEAM UKYO)

3位 松井 丈治(立命館大学)

19位山口瑛志

DNF夏目天斗